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本当のような話
「シャーマンとか呪術師に会ってみたいですよね」
「え?あそこ知らない?行けばいいじゃん」
「なんですかそれ???
そこは・・・・・・
いかないです。」
・・・・・約2週間後
「私、セレモニー受けたんよ。」
「セレモニー?なんですかそれ?」
「ビジョンを見るために木の液体を飲むんだけど
とにかく一回目は吐きまくって、
最後は口から自分の悪魔がでてきたけんね。
3回目でようやくビジョンが見えたよ。」
「ビジョン?何ですかそれ?」
「吐くのとか蚊とか大嫌いなんで僕は絶対行かないです。」
・・・・4週間後
結局シャーマンの村に向かってました。
バスで22時間。途中で崖が崩れて足止めに
ボートで1時間
紹介された集落を目指します。
すると
それらしい建物の中に人が
タンクトップにお腹ぽっこり。。。。。
あのだらだら感はシャーマンじゃないな。。。。。
なんせ俺が探してるのはシャーマンなんだから。
人が集まっているリビングのような家にたどり着き
「シャーマンはいますか?」
と聞いてみると
さっきの建物からタンクトップのお腹ポッコリが
「お~、俺、俺。 俺がシャーマンじゃ」
って感じででてきました。
とりあえず寝床を案内されたのですが
もちろん期待はせず、むしろ覚悟はしていましたが
鬼太郎ハウスしかも悪臭つきって感じでした。
これは絶対にダニー達(ダニ)が住んでると確信した僕は
完璧な対策をうちました。
シャーマンロセンドと話してもラチが明かないので、(ボディランゲージには限界がある)
先に宿泊していたフィンランド人のヨンテが通訳してくれてこの先の日程を決めました。
・セレモニーは夜9時から始まる事
・セレモニーまでの5時間は何も食べない事
・塩分・糖分の多い食べ物は食べない事
(食べ物は基本、ツナ・卵・リンゴの毎日)
早速初日の夜からセレモニーに挑みます。
左手前から時計回りに
ヨンテ・ロセンド・僕・インプ(別のフィンランド人)
という感じで9時におちょこ一杯に入った茶色の液体を飲みます。
思ってたよりまずくはないです。
1時間経過。
誰も吐かないじゃん?
ロセンドがイカロという奇妙な歌を歌い出す。
2時間経過。
来た。ついに。吐き気が。
目の前に小さなバケツが用意されていて、それに吐けばいいのですが
少し抵抗があったのですぐ裏のトイレへ。
吐く。ついでに腹も緩くなっていたのでそっちもかたずける。
さぁ、ビジョンよ。我の前に現れたまえ!
ロセンド 「タイ。ビジョンは見えてるか?」
私 「え?もうみんな見えてるの?」
ヨンテ 「ソーストローング・・・・・アイネバー。(とても強い。こんなの初めてだ。)」
これは今夜は無理だな。
そう思った僕はその日は眠りに落ちてしまいました。
次の日、ロセンドが僕の所に来て言います。
「ヴォミティーボをしろ。胃を綺麗にしないとビジョンは見れん。」
ヴォミティーボ??なんじゃそりゃ!
次の朝5時
インプが僕を迎えに来て、奥の茂みの方に連れて行きます。
インプが「先にヴォミティーボするから見とけ」と言って手本を見せてくれるようです。
なんか10号釜に入った赤茶色の液体をボールですくって思いっきり飲みだす。
するとすぐに悪魔のような雄たけびを上げながら吐いてます。
「グオォーーーーーーー」というか、表現しようのないまさに胃から声が出てる感じです。
いやいや。「ヴォミティーボ」ってそれ「ヴォミット」じゃん!!!直訳するとただの「吐く」じゃん。
とりあえず僕も飲んでみるとすぐに微妙な吐き気が返ってきて
僕も自分が悪魔になったイメージですごい声をだして吐きました。
ふ~。。。。。。。やってやったぜ。インプ。俺もやってやったぜヴォミティーボ。
さぁ、健やかな朝に戻ろう。
いや何言ってるんだタイ。ヴォミティーボはまだ始まったばかりだ。
俺たちはこれからこの十合釜全部ヴォミティーボするんだよ。
馬鹿言え。。。。そんな事できる訳ないだろ。。。。。
その後、数分?数十分???
僕らは飲んでは雄たけびを上げて茶色の液体を吐くという作業を繰り返し、
ようやく飲み干す寸前まで辿り着きました。
ちょっと残すってことは、さすがのインプもヴォミティーボはつらいんだな。。。。。。。。
集落に帰ると、ロセンドファミリーがみんなで待ってました。
そりゃそうですよね。
男二人の変な雄たけびが朝早くから響き渡って。
にわとりなんかより質が悪すぎですよね。。。
ロセンドが「タイ!!!大丈夫か????」
と聞いてきたので
涙目でヨロヨロになっていた僕は思いっきりロセンドに抱きつきました。
大丈夫なわけあるか!!
インプとヨンテと昼に最寄りの村までボートで1時間かけて行き、当時流行っていた「アバター」を買いに行きました。
インプは「これはビジョンだ!」と言っていましたが、よく分かりませんでした。
ヨンテは一か月。インプは三か月もここでセレモニーの修行をしているらしく
文明生活がすごく恋しそうでした。
夕方にインプの馬頭琴演奏会があり、夕食の時間が遅れて挑む二回目のセレモニー。
何故かすごく落ち込んだ夫婦が参加していました。
どうやらこの辺にはマレーロという偽シャーマンがたくさんいるらしいのです。
マレーロの力は三か月で習得可能で、その力を使うとみんな精気がなくなってしまうので
ちゃんとしたシャーマンのセレモニーで元に戻してもらわなくちゃいけないらしいのです。
この日のロセンドはちょっと違いました。
なんとマントを着て登場してきたのです。
おー。ロセンド。なんかかっこいいぞ。。。
二回目のセレモニーが始まる。
眠気が襲ってくる。ロセンドがイカロを歌いだす。
夢と現実の間に入る。
3時間くらいしてはっきりと目が覚める。
目が回っている。
ふらふらする。素面ではない。
お腹を完全にくだして水になってる。
トイレから戻ってくると、
インプとヨンテが 「ビジョンは見えてるか?」と聞いてくる。
「いや、よくわかんない。でも素面ではないよ。」
吐き気がして吐くけど胃液しか出ない。
とりあえず一歩近づいたかな。
という感じでした。
この村での生活。
飲み水以外は基本この井戸から。
この茂みで囲われたとこが風呂場です。
ヴォミティーボの元です。
ヴォミティーボ作成中 。
。
マパチョ。というセレモニーの時にふかす煙草みたいなやつです。
灰皿兼吐くようの桶です。
パロサントも登場します。
村の学校。
二回目のヴォミティーボも終え、いよいよ最後のセレモニー。
遂に究極のビジョンへ!
最後の飲み物はどうやら新品らしくロセンドが嬉しそうに「ヌエボヌエボ(新しい新しい)言ってました。」
最後のセレモニーへ!!!!
ロセンド・インプ・ヨンテ・小川
そして、ロセンドのバックには長男と一番下の男の子がつき、今夜はバックアップ!!
時は来た。
秘薬を飲んで1時間。ロセンドがイカロを歌い出す。
30分経過。
ロセンド、歌うのやめる。
あれ?
ロセンドからいびきが聞こえてくる。
あれ?
あれ?
私は何も変わらない。吐き気もしなければお腹もくださない。
とりあえずトイレに行くと、蚊の大襲撃に会い、盛っていうと30カ所ほど刺されました。
会場にもどってきて、じっとしていると、
昼はブヨ、夜は蚊に襲撃された身体が悲鳴をあげはじめて痒くて痒くて苦しくて
明後日のバスだったけど、一日早めて明日帰ってやる!と決意しました。
その日のセレモニーはインプもヨンテも強烈だったらしく二人ともすぐ寝てしまっていたらしいです。
帰るはずが、
所持金もなく、ビジョンも見れなかった僕にインプとヨンテが泣きの一回分をカンパしてくれました。
かなり余計でしたが、もう一回のヴォミティーボ分も。(最悪だ。)
最後のヴォミティーボは、かなり気合いを入れて臨みました。
完全にインプの吐く勢いを上回っていました。
「オラー!!!!!」って感じで吐きまくりました。(涙と鼻水だらだら流しながら)
インプが少し残ったタイミングで「よし、この辺でいいだろ」って感じで切り上げようとしたので
僕は最後まで飲み、吐き干しました。(おごってもらっといて残せなかった。。。)
よっしゃ!!!!
って感じで本当に最後のセレモニー!!
おちょこに願いを込めて一気に飲み干す!!!
飲んだ直後から気持ち悪い。。。。。
二時間経過。。。。。。
なんなんだ今日は。。。。。。
と思ってたら横でロセンドが吐きだす。1回。2回。
インプもヨンテも吐き出す。
僕ももう我慢できない。
思いっきり吐きました。
吐こうとして吐いたのではなく、出てきた!って感じでした。
なんか体がふらふらする。
とりあえずマパチョをふかす。
なんだこれ。
よくわからんけど自分の体のいたる所に目がついてる感じがしました。
ロセンド 「みんなどんな感じだ?」
ヨンテ「ムイ、ビエン。」(とてもいい感じだ。)
僕とインプも頷く。
・
・
・
・
ヨンテ 「ムイ 、ビエン」
・・
・・
・・???二回言った。。。。別に聞いてもいないのに。
・・・
・
・
ヨンテ 「ムイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ビエン」
もうダメでした。
僕とインプは三回目のムイビエンで爆笑してしまいました。
一応神聖な儀式なのに。
それからヨンテはちょいちょいムイビエンと言っていました。
ようやくロセンドがイカロを歌い出しました。
この日のイカロはすごく心地よくて、録音したくなるほどでした。
4時間くらいたって、ロセンドが席をたち、建物の外の外灯だけつけて家に戻っていきました。
外灯がついて、蚊帳をバックに映し出されるインプとヨンテはすごくかっこよく見えました。
そこから無言で朝を迎えました。
という、ビジョンはよくわからなかったですが
楽しく終われた10日間のシャーマニズム訓練記でした。
※参考文献・・小川のノート